減圧開頭術を施行した中大脳動脈梗塞の転帰予測因子について vol.17

リハビリテーション

今回は、論文抄録です。

フランスのBarbara Casollaさんの研究です。

2020年にJ Neurol Neurosurg Psychiatryにパブリッシュされた論文です。

結論から

1年後転帰不良発生の独立予測因子は、

・年齢

・週当たり300g以上の飲酒

となりました。

なんと、梗塞体積は転帰の予測因子ではありませんでした。

対象と方法

・三次脳卒中医療施設

・減圧開頭術を施行した巨大中大脳動脈(LMCA)梗塞患者212例

・術後転帰の予測因子を多変量ロジスティック回帰解析で検討

結果

30日死亡率は16.5%

独立の予測因子は、

・減圧開頭術前の梗塞体積(10mL増加当たりオッズ比1.10、95%CI 1.04-1.16)

・症状発症から減圧開頭術施行までの遅延(12時間延長当たりオッズ比0.41、95%CI 0.23-0.73)

・減圧開頭術後の正中線偏位(オッズ比2.59、95%CI 1.09-6.14)

・死亡予測での梗塞体積の至適カットオフは210mL以上だった。

30日生存者177例での1年転帰不良発生率は43.5%

独立の予測因子は

・年齢(1歳増加当たりオッズ比1.08、95%CI 1.03-1.12)

・週当たり300g以上の飲酒(オッズ比5.30、95%CI 2.20-12.76)

・梗塞体積は転帰の予測因子ではなかった。

私なりの考察

30日後の死亡率に関しての予測として、梗塞自体の問題が主にピックアップされていました。

一方、1年後の転帰不良発生に関しての予測では、年齢と飲酒がピックアップされていました。

つまり、急性期治療を乗り越えれば、梗塞自体の問題による状態悪化の可能性は少ない!ということかもしれません。

再発を防ぐためにも、飲酒についての指導をし、日常生活の指導も大切にしていきたいですね。

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