歩行練習の量を増加させる重要性について vol.21

リハビリテーション

脳卒中患者に対して、歩行練習量を増加させるは効果的だ!

と言われていますね。私もそう思います。

で、ガイドラインを調べると少し気になることがありました。

1.日本脳卒中学会:脳卒中治療ガイドライン2015(追補2019)

歩行や歩行に関連する下肢訓練の量を多くすることは、歩行能力の改善のために強く勧められる(グレードA)

・通常の理学療法、作業療法に加えて歩行訓練などの下肢訓練を30分行うと、上肢訓練を30分加えた群や追加の訓練を行わなかった群に比べて20週時点で歩行能力がより改善した(レベル2)。同様の研究を集積した歩行に特化した反復的訓練に関するメタアナリシスにおいても歩行速度や耐久性の改善が報告されている (レベル1)。

・また、慢性期に患側下肢集中訓練(歩行および歩行に関連する課題指向的サーキット訓練)を行うと歩行距離、歩行速度が改善し、Timed Up-and-Go TestとActivities of Balance Confidence scaleでみたバランス機能にも有効性が確認された (レベル1)。さらに、歩行改善に効果的であり、入院患者では在院日数が短縮された(レベル 1)。 

ここで批判的吟味をさせて頂きます。

追加で30分歩行などの下肢訓練で歩行能力改善→そりゃそうだろ!

歩行に特化した反復練習で速度と耐久性改善→歩行練習時間ではない

歩行に関連する課題指向的サーキット訓練で歩行距離と歩行速度改善→歩行練習時間ではない

つまり、歩行に関する練習時間を増やすことが大切。

2.日本神経理学療法学会:脳卒中理学療法診療ガイドライン2011

早期歩行練習(グレードA、エビデンスレベル2)

・脳卒中後早期の集中した歩行練習は十分に実施可能である。 ※1

・亜急性期患者に対し,トレッドミルによる歩行練習の効果を検討した結果,治療中には歩行能力,歩行速度,その他の運動機能が改善した。

・急性期患者に対する機能的電気刺激を同時に行ったトレッドミルでの歩行練習により,長期的な歩行能力,機能的活動性,バランス,運動制御の改善がある。

・脳卒中初期においては,床上歩行練習よりもトレッドミルを用いた歩行練習の方が高い効果が認められたと報告されている。6か月後も効果は維持されていた 。

・早期にロボット駆動型歩行装置を用いたトレッドミル歩行は,歩行機能についてコントロール群との差はなかったが,麻痺側の立脚時間や筋肉量を改善させる。

・亜急性期患者に対し,伝統的な運動療法を行う群とこれに加えてトレッドミル歩行練習を行う群,平地歩行練習を行う群の3群に分類し,歩行能力回復を比較した。結果,歩行能力は歩行練習を行った2群で改善を認めた。患者自身の努力度はトレッドミル群が良かった。 

・早期歩行練習は従来の運動療法より有効であった。 ※2

・早期の集中した治療と従来治療間を運動パフォーマンス,バランス,機能的能力,歩行の実験的データで比較すると,両者に違いはなく,介入時期は重要な要素でないことが明らかとなった。歩行速度と相関があるのは,全体の治療時間ではなく歩行治療にかける時間であった。

また批判的吟味をしてみます。

※1、※2は意味不明な文章

トレッドミルで歩行能力改善が多い→平地歩行ではなくトレッドミルの効果では?アウトカム不明?

つまり、トレッドミルを使用して歩行量を増やすことが大切なのか、トレッドミル自体に効果があるのかがわからない。

回復期の姿勢・歩行練習(推奨グレードA、エビデンスレベル2)

・歩行困難な患者に対してボバースアプローチと比して,セラピストの指導の下に行う部分的免荷下でのトレッドミル歩行を用いた課題指向型の反復練習により,歩行能力,歩行スピードを改善させる 

・床上歩行での部分的体重免荷は,歩行速度やバランス能力,歩幅を改善させる。

・ロボット駆動型歩行装置による介助よりもセラピスト介助はトレッドミル歩行において,歩行速度と患肢の片脚支持時間を改善させる。 

・指導下の高強度漸増抵抗運動は,麻痺肢,非麻痺肢の両者に向上が見られ,機能制限の減少につながる。※1

・慢性期の集中的な下肢筋力強化や歩行練習は歩行能力を改善させる。 

・部分的体重免荷したトレッドミル歩行は,機能的バランス,運動回復,床上での歩行速度等を改善させる。

・構成した速度によるトレッドミル歩行は,制限付き速度漸増トレッドミル歩行および従来のトレッドミル歩行に比して歩行速度,ケイデンス,ストライド長, 機能的歩行能力を改善させる。 

・運動イメージを用いた歩行練習は,歩行速度の改善や両脚支持期増加,膝関節運動を改善させる。

・バーチャルリアリティー下での居住地域内歩行練習により,歩行速度,地域歩行,walking ability questionnaire(WAQ),activities-specific balance confidence(ABC) に向上が見られた。 

・エルゴメーターでの最大負荷運動は,歩行速度とケイデンスの増加が見られた。

・ 杖の使用により姿勢動揺が減少するが,四脚杖の使用はT杖使用時よりも姿勢動揺を減少させる

また批判的吟味です。

BWSTT、トレッドミルで歩行速度改善→平地歩行ではない

ロボットと比較してPT介助のトレッドミル歩行で歩行速度改善→比較対象がおかしい

※1は歩行関係ない

運動イメージ、VR、エルゴ、杖の使用で歩行能力改善→歩行練習の効果ではなさそう

つまり、歩行練習ではなく、様々な練習が歩行能力改善に効果があるってこと?

まとめ

ガイドラインを読むだけでは、量が重要だということがわかりませんでした。

また、日本理学療法協会:理学療法診療ガイドライン第1版ダイジェスト版2011では、

Q.トレッドミルを用いた歩行練習が効果的であると聞きますが?(推奨グレードA)

という質問に対して、

A.トレッドミルを用いた歩行練習の効果について多くの報告がある。その大半は部分免荷歩行であり,機能的にも歩行能力にも効果的であるというものである。しかし,通常の床や地面で歩行練習した場合と差はないという報告もある。その場合でも両群とも,早期の歩行練習ではなく従来の運動療法を行った群とは差がみられている。  

との記載もあります。

↑おいおい・・・って感じですね。笑

グレードAって書いておきながら、否定しているように感じます。

でも、引用している論文の多くはトレッドミル歩行で平地歩行少なかったですね。

批判的なことをたくさん書きましたが、臨床感覚としては、歩行練習量はおそらく重要です。

科学的に量の重要性を証明したいですね。

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